『キングダム』は、原泰久(はら やすひさ)による中華の歴史漫画です。紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍を目指す少年と、中華統一を目指す若き王の活躍を描き、連載開始から長期にわたり圧倒的な人気を誇っています。
1. 連載開始と苦難のスタート(2006年〜)
作品は、歴史の隙間に光を当てた斬新なテーマで始まりました。
連載開始 (2006年): 2006年、集英社の青年漫画雑誌『週刊ヤングジャンプ』にて連載が開始されました。
時代背景の選択:
舞台は紀元前の中国・春秋戦国時代。これは、『三国志』などで知られる三国時代と比べると、当時の日本では一般的に知名度が低い時代でした。作者の原泰久氏が、この激動の時代にスポットを当てたことが、物語の壮大さを生む土台となりました。
初期の苦戦: 連載当初は、読者アンケートの順位が低迷し、コミックスの初版部数もダウンするなど、連載継続が危ぶまれるほどの苦境に立たされていました。作者自身も、連載初期の苦労を語っています。
2. 飛躍と社会的評価の獲得(2010年代)
物語が主要な戦いやキャラクターの成長を描き始めるにつれて人気が爆発し、社会的な評価も確立されました。
人気上昇: 単行本が巻数を重ねるごとに、主人公・信や若き王・嬴政(えいせい)の成長、そして「王騎(おうき)」や「麃公(ひょうこう)」といった個性豊かで魅力的な将軍たちの活躍が読者の心を掴み、人気は急上昇しました。
手塚治虫文化賞 マンガ大賞受賞 (2013年): 第17回手塚治虫文化賞においてマンガ大賞を受賞。この受賞は、その圧倒的なスケールと、史実と創作を巧みに融合させたドラマ性の高さが批評的にも認められたことを示し、作品の地位を確固たるものにしました。
テレビアニメ化 (2012年): 2012年にテレビアニメ化され、これにより幅広い層への認知度が飛躍的に向上しました。
3. メディアミックスの大成功と国民的地位の確立(2019年〜現在)
実写映画化の成功により、作品は青年漫画の枠を超えた国民的な作品となりました。
実写映画化 (2019年〜): 2019年に公開された実写映画は、その映像化のクオリティとアクションの迫力が評価され大ヒットを記録しました。その後も続編が次々と制作され、日本の実写映画界におけるキラーコンテンツの一つとなっています。
累計発行部数1億部突破 (2023年): 2023年11月、コミックスの累計発行部数(電子版含む)が1億部を突破しました。これは集英社の青年漫画誌史上初の快挙であり、長期連載における金字塔を打ち立てました。
継続的な連載とテーマ: 物語は、秦が中華統一を達成するために他の六国との大規模な合従軍との戦いや、次々と現れる大将軍たちとの死闘を描き続けています。史実に基づきながらも、信が「天下の大将軍」という夢を追い続ける熱い人間ドラマが、読者を惹きつけています。
まとめ
『キングダム』は、2006年の連載開始当初の苦難を乗り越え、壮大なスケール、緻密な歴史描写、そして熱い人間ドラマが融合したことで大ヒットを記録しました。手塚治虫文化賞の受賞、そして実写映画化の成功を経て、累計1億部突破という金字塔を打ち立て、日本を代表する歴史アクション漫画としての地位を確立しました。